血糖値は人それぞれ、毎日変動しているものです。食べたものによっても、運動したかによっても、変動します。
それらを「トレンド(傾向)」として把握することの総称として「血糖トレンド」という言葉が使われています。
従来の測定は、いわば「点」での測定値。
情報量の偏りや不足、夜間の血糖管理の難しさなど、様々な課題がありました。
そこで注目されているのが、睡眠時を含めた連続測定により、「線」のデータをとる方法。血糖値変動(トレンド)を知ることで、治療の最適化を目指し、合併症の発症や進展の抑制にもつながる可能性もあります。
血糖トレンドの「見える化」は、血糖の変動や推移をある時点の測定値だけではなく、連続測定の値で表示することを指します。これにより血糖コントロールの全体像、傾向を把握することができます。
血糖トレンドが「見える化」されることで、無自覚な低血糖や高血糖の存在に早期に気付くことができ、また事前対策ができるようになるため、主体的な行動が取りやすくなります。
さらには、医療従事者が患者さんと協働して、より良い治療方針を決定できるようになります。
一般的には一度上昇した血糖は次第に下がっていきます。ところが、糖尿病患者さんは、インスリンの働きが弱かったり、インスリンを作る力が弱いため、上昇した血糖がなかなか下がりきらず、高い状態が続きます。
健康な人の血糖の変動と同じようになるように、食事療法、運動療法、薬物療法を組み合わせながら、血糖を適切にコントロールしてゆくことが必要です。それには、自身の血糖がどのように変動しているか把握する必要があります。
血糖の変動を把握するために、最近では、指に針を刺すという負担なく1日の血糖の動きを測定でき、結果をスマートフォンと連携することができる血糖自己測定器もあります。「穿刺が苦手だが、自宅で血糖測定がしたい」という方は主治医に相談してみることをおすすめします。
間質液とは細胞と細胞の間に存在する液体のことです。血糖トレンドは、血糖値ではなく、間質液中のグルコース(ブドウ糖)の濃度を測定します。