関節リウマチは、指や肘、膝などの全身の関節に痛みや腫れが生じ、軟骨や骨が破壊されて関節の機能が失われる疾患です。
放っておくと関節が変形してしまい、進行するにつれて歩行しづらくなり、身体の運動機能に障害を起こしてしまいます。
日常生活に支障をきたさないように早く治療を始める必要がありますので、本日は少しでもリウマチについて知っていただければと思います。
リウマチの仕組み
リウマチは自己免疫疾患です。
自分の免疫機能に異常が生じて、誤って自分自身の細胞や組織を攻撃してしまいます。
そのため、左右の関節で同時に症状が生じやすいです。
炎症を引き起こすメカニズムを簡単に見てみましょう。
~炎症の悪化を引き起こすのはサイトカインという物質~
体内で炎症が生じたときに、サイトカインという物質が過剰に分泌されます。
特に「TNFα」「IL-6」と言われるサイトカインが炎症を悪化させ関節破壊を促します。
最近では、リウマチの治療で使用されるようになった生物学的製剤はこのサイトカインの働きを抑え、炎症を鎮静化させることができます。
リウマチの症状
リウマチは女性に発症することが多く、痛みや腫れの症状は手指の第2関節に出るのが典型的です。
基本的には左右対称に発症しやすいですが、「単関節型」と呼ばれる片方の関節だけ発症するケースも少なくありません。
まずは以下のチェックリストを見て、1つでも当てはまれば早めに受診を考えましょう。
□パジャマのボタンが外しにくい
□家の鍵が開けづらい
□歯ブラシが持ちにくい
□缶や瓶のふたが開けにくい
□朝食を作るときに違和感がある
□靴ひもやリボンが結びにくい
□おはしが上手に使えない
リウマチは朝起きてから30分以内くらいに最も出やすく、日中・夜は落ち着くのが特徴です(朝のこわばり)。
そういう意味では朝の身支度や朝食の準備などで初期症状に気づくことができるかもしれません。
症状の進み方
リウマチの進行度は関節破壊と機能障害の程度から分類されます。
まず関節破壊の進行の程度から見てみましょう。
「Steinbrockerの病期分類」
ステージ1(初期):X線検査で骨の破壊が無い状態
ステージ2(中等期):軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなってるが骨の破壊は無い状態
ステージ3(高度進行期):骨や軟骨の破壊がみられる状態
ステージ4(末期)関節が破壊され、動かなくなっている状態
また機能障害の進行度は以下のようになります。
「米国リウマチ学会の機能障害度分類」
クラス1(ほぼ正常):健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事が出来る状態
クラス2(軽度障害):多少の障害はあるが普通の生活を送れる状態
クラス3(制限):身の回りの事は何とか出来るが、外出時には介助が必要な状態
クラス4(不能):ほとんど寝たきり、あるいは車椅子の生活で身の回りの事が自分ではほとんどできない状態
関節破壊の進行度はX線検査を行わないと分かりませんが、機能障害の程度は患者さん自身である程度判断することができるといえます。
リウマチの治療について
リウマチの治療薬は以下のようなものが代表的です。
~薬物療法~
・非ステロイド性抗炎症薬
痛みに関連するプロスタグランジンという物質が生じるのを防ぎます。
そのため、痛みや炎症を軽くする効果があります。
副作用としては胃腸障害、腎障害などがみられましたが、製剤の改良により副作用が減らされているものもあります。
・ステロイド(副腎皮質ステロイド)
痛みや炎症を抑制する働きがあり、活動性の高いリウマチに対して、抗リウマチ薬の補助として処方されます。
速効性が高い反面、長く使用すると免疫低下を促し糖尿病や白内障、骨粗しょう症などを合併する恐れがあるため、遅効性の抗リウマチ薬が効き始めたら速やかに減量・中止する必要があります。
・抗リウマチ薬
免疫異常、炎症の改善及び抑制や骨破壊の進行を抑え込みます。
遅効性のため効果が発現するまでは非ステロイドやステロイドを補助として併用し、発現したらそれらの薬を止めることもできます。
効果を高めるために、2種類以上の抗リウマチ薬を併用することもあります。
ただし、副作用として骨髄抑制、肝障害、間質性肺炎などの重い副作用も起こることがあるので医師の診断のもと定期的に検査しながら服用することが大切です。
・生物学的製剤(バイオ製剤)
リウマチの原因である「炎症性サイトカイン」などを標的として抑え込み、痛みや炎症を抑えると同時に骨の破壊の進行を大きく抑え込みます。
日本では平成15年より抗TNF製剤が登場してから多くのバイオ製剤が発売されてきました。
患者さん自身で使用できる自己注射型の製剤も登場し、より便利に治療を行えるようにもなっています。
しかし値段が高価なものが多く、1日に3,000円~5,000円ほど薬剤費がかかるため患者様の経済的負担が大きいのがネックです。
副作用としては、上気道感染や肺炎などの感染症があります。
以前までは薬で炎症や痛みを抑えたり、手術で関節部位を取り除くような対症療法が主でしたが、現在では生物学的製剤という効果の高い薬を使う治療が中心です。
生物学的製剤は炎症や痛みを抑えるだけでなく、サイトカインの活動を抑制し病気の進行を食い止めて関節の破壊を防ぎます。
現在ではこうした薬を使用する薬物療法を中心に、以下の治療法も加えていきます。
~リハビリテーション~
運動療法や作業療法、補助具を使った両方などで、身体の機能向上を目指していきます。
理学療法と合わせて手や足を動かすなどのリウマチ体操を毎日やることが大切です。
運動はストレスを軽減し免疫を高めるため、無理のない範囲で身体を動かしましょう。
~手術療法~
炎症が激しい関節の滑膜を切除する「滑膜切除法」やひざや股関節などを人口の関節に入れ替えて、その働きを戻すようにする「人工関節置換術」などがあります。
人工関節は年々改良され、最近では高齢の患者さんにも積極的に用いられています。
薬物療法、リハビリテーション、手術療法を組み合わせながら治療を行うのが一般的です。
リウマチの活動性をみながら「寛解」を目標に治療していきます。
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