WHOによると、世界のうつ病患者数は3億人を上回り、うつ病により年間約80万人が自殺しています。
気分の落ち込みなどの精神的な症状は他人から見えにくいため、早期発見も難しいのが現状です。
今回は、うつ病を改善するための治療法と予防について解説します。
うつ病とは
うつ病とは、気分の落ち込みや、物事への興味・関心の薄らぎ、楽しみの喪失などが起きる精神疾患の総称です。
症状によっては、自分を過剰に責めたり、集中力や記憶力が低下したりすることもあります。
うつ病の原因はストレス
うつ病の一番の原因はストレスであるといわれています。
ストレスの例として、近親者との死別や環境の変化、人間関係のトラブルなどがあげられます。
しかし、同じようなストレスを受けたとしても、そのストレスを強く感じる人もいれば、感じない人もいるのです。
中でも、生真面目で几帳面、責任感が強いメランコリー親和型の人はうつ病になりやすいといわれています。
うつ病の関連因子
日本人は、幸福を感じるホルモンであるセロトニンを受容するトランスポーターが少ないといわれています。
また、うつ病と遺伝は関係性が確認されています。
うつ病の危険因子として病気も考えられます。
たとえば糖尿病など、長期にわたる食事制限が必要な場合、それが大きなストレスとなり、うつ病を発症することがあります。
また、がんなど命に関わる病気になった場合、そのショックからうつ病を招くことがあります。
うつ病の症状
気分が落ち込んだり、やる気が出なかったりする状態を「抑うつ」と呼びます。
通常では、抑うつ状態は一時的であり、時間が経つと元気を取り戻します。
しかし、うつ病の場合は時間が経っても解決せず、日常生活や社会生活に支障をきたすこともあります。
目安としては、抑うつ状態が2週間以上継続する場合はうつ病を疑いましょう。
うつ病の心身の症状
精神的な症状としては、前述の通り抑うつ状態であったり、悲観的になったりイライラすることがあります。
また、自殺願望も現れることがあります。
身体の症状として、不眠や疲労感、食欲低下などがあげられます。
うつ病の治療方法
うつ病の治療方法はいくつかありますが、基本的には抗うつ薬による薬物療法が中心です。
精神科やクリニックなどに通院し、症状に適した抗うつ薬を医師に処方してもらいます。
うつ病の精神療法
抗うつ薬の内服により、抑うつなどの症状自体は改善することが多いです。
しかし、うつ病は薬物療法のみでは完全に克服することは困難です。
なぜならば、うつ病になる前と同じストレスを受けると、再発の可能性は高まるからです。
そこで、うつ病の根本的な治療として、精神療法があります。
うつ病の精神療法では、自分の性格やストレス、生活環境などを見つめ直します。
そして、最終的にはストレスに対して自分の力で解決できるようにサポートする治療をします。
うつ病の予防法
前述の通り、生真面目で几帳面、責任感が強いメランコリー親和型の傾向が強い人はストレスを受けやすいといわれています。
いきなり性格を変えることは難しいですが、自分の性格について知り、理解しておくことでストレスへの対処法を考えたり、実行したりすることができます。
余裕をもって日常生活を送る
仕事や家庭のことで毎日忙しく生活している方も多いのではないでしょうか。
いつもせわしなく生活していると、自律神経も乱れて精神的に不安定になるリスクも高まります。
すべてにおいて完璧を目指すのではなく、頑張りすぎず、気持ちに余裕をもって生活できるとよいですね。
生活や環境の変化に注意する
普段の生活や環境に変化があった際は、注意が必要です。
環境の変化によって、自分自身で気づかないうちにストレスを受けていることがあります。
特に、職場の転勤や結婚・出産のタイミングは心と体に疲れが溜まらないようにしましょう。
生活や環境に変化があった際は、意識的に休養をとり、家族や気の知れた友人と会話を楽しむ時間をつくるなどしてリラックスすることをオススメします。
セルフモニタリングをする
セルフモニタリングは行動療法の一つとされています。
スケジュール帳などに、1日の行動や思考・感情など気分の状態を、0~100点で客観的に記録していきます。
例えば、「上司に怒られて落ち込んだ10点」「ランチに大好物を食べて80点!」と記載します。
後から、見直して落ち込みの原因や自分の考え方のクセに気づき、ストレスへのセルフケアを習得していきます。
家族やカウンセラーに相談する
些細な悩みごとでも家族や友人に話してみましょう。
また、抗うつ薬の服用が必要とされる前の未病の段階で、専門のカウンセラーに相談することもできます。
1人で思い悩んで、うつ病の症状が進行してしまう前に、適切なカウンセリングを受けたり、専門病院に紹介してもらったりすることが大切です。
うつ病の精神的な症状などは、他人に気づかれにくいものです。
しかし、WHOはうつ病は治療や予防が可能だとし、発症が疑われる場合は自分が苦しんでいることを信頼できる人に話すことが治療への第一歩だと促しています。
余裕のある生活を意識し、セルフモニタリングを通して、うつ病を予防していきましょう。
(文・理学療法士)
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