冬は1年の中で最も乾燥する季節です。
外の空気はもちろんですが、室内での暖房の使用によってさらに乾燥します。
そのような中で肌だけでなく、目も乾燥することをご存知でしょうか?
本日のトピックではドライアイについてとその対策についてお話ししたいと思います。
ドライアイとは
そもそも私たちの目の表面は涙のベールで常に覆われています。
このベールは三層からなり「油層」「水層」「ムチン層」からなり、乾燥を防ぎ、ゴミやほこりを洗い流す働きを担っています。
ドライアイとは、目の乾燥により涙の蒸発量が増え、角膜が外気に直接触れてしまい、コンタクトをしていても物がはっきり見えなくなったり、目がかすんだりする症状です。
ドライアイはいわゆる「目の粘膜の肌荒れ」のような状態と言えるでしょう。
ドライアイの方は全国に約800万人いると推定されており、頻度の高い病気です。
以下の項目でご自身がドライアイか確認してみましょう。
- □目が疲れやすい
- □目が痛い
- □目ヤニが出る
- □目がゴロゴロする
- □理由もなく涙がでる
- □物がかすんで見える
- □目がかゆい
- □目が赤くなりやすい
- □光をまぶしく感じる
これらのチェック項目に4つ以上当てはまればドライアイの可能性があります。
どうしてもひどいと感じる方は医師の診断を受けることをお勧めします。
ドライアイ対策
最近「目が疲れる」と感じる方、それはドライアイかもしれません。
ドライアイには様々な原因が考えられます。
代表的な原因には以下のものが考えられます。
- ①冬の乾燥した空気
- ②エアコンの長時間利用
- ③加齢
- ④VDT作業(PC、テレビ、スマホなど)や読書が多い
- ⑤長時間のコンタクトレンズ着用
- ⑥花粉症
最近、目が乾くと感じている方はこれらが原因かもしれません。
ここではドライアイに対してご自身で簡単に実行できるセルフケアをご紹介します。
■目と目元を約40℃の蒸気であたためる
前述した通り、涙は「油分」「水分」「ムチン」で構成されています。
眼球を覆う働きの油分は上下のまぶたの内側にあるマイボーム腺から分泌されています。
このマイボーム腺が詰まるとバターのように油分が固まってしまいドライアイの原因になります。
想像すればお分かりになると思いますが、蒸しタオルなどで目を温めると(約40℃が目安)固まった油分も溶かすことができ、収縮した目の筋肉もほぐすことが可能で疲れ目の改善にもつながります。
■エアコンや加湿器を正しく使う
冬は寒いのでエアコンを使うことも多くなるかと思います。
エアコンの風が直撃する場所で長時間過ごすと、当然ながら目の乾きを加速させます。
可能であれば送風口の方向を変えたり、場所を移動したりして、顔や目に直接当たらないように調整しましょう。
また、望ましい室内の湿度は50%以上が目安です。
空気が乾燥するときは加湿器などを使用して乾燥を防ぎましょう。
難しい場合は水を入れたコップなどをデスクに置くのも効果的です。
■コンタクトレンズを正しく使用する
コンタクトレンズを使用している方はしていない方に比べて涙が蒸発し、減りやすくなります。
コンタクトレンズの上から使用可能な人口涙液の目薬を用法・用量を守って点眼し、乾燥から目を守ることが大切です。
しかしながら、何年も前に開封した目薬を使って、細菌感染などで目の病気を引き起こすと大変ですので、開封後はなるべく早めに使い切りましょう。
また、コンタクトレンズのケアを怠っている人が多い傾向があります。
帰宅すると、レンズを外さずに寝てしまっていませんか?
これは目に負担がかかり、角膜を傷つけやすいです。
コンタクトレンズは医療機器なので正しい用法で使用し、洗浄・保存しましょう。
■まばたきストレッチ
私たちが無意識に行っている「まばたき」は目の表面に涙を送るという大切な働きがあります。
仕事の合間や休憩時に意識してまばたきする習慣を作りましょう。
簡単にできる「まばたきストレッチ」をご紹介します。
参考までにぜひ試してみてください。
(まばたきストレッチ)
- ① 両目のまぶたに力を入れて2~3秒間ぎゅっと閉じて、緩める。
- ② ①と同様に両目のまぶたに力を入れて2~3秒ぎゅっと閉じた後、今度は目をぱっと見開く。
- ③ ①と②を数回繰り返す。
「まばたきストレッチ」はドライアイ改善効果があるほかに、目のかすみが和らぎ、視界がクリアになる効果もあります。
ドライアイの治療
ドライアイは症状や原因が様々です。
単なる一時的な不調なのか眼球の表面に障害が起きているかは、眼科医でなければ正しい判断は難しいです。
また、放置しておくと、知らないところで症状が悪化し、合併症を引き起こす恐れがあるので少しでも気になったら一度通院しましょう。
ドライアイの治療は以下のものが代表的です。
<点眼薬>
目が乾燥している状態なので、水分を補給し、傷ついた角膜を修復するタイプの目薬が従来から使用されていました。
最近では、点眼薬も進歩し涙の各成分に働きかけるものが開発されました。
正常に機能していない涙の層をターゲットとした層別治療が可能になっています。
<涙プラグ>
点眼薬では効果が不十分の際に、点眼閉鎖による治療を行います。
涙の排出口である涙点にシリコンや合成樹脂製の栓(プラグ)をし、涙の流出を抑えて目の表面に涙を十分にためる方法です。
また、この涙点閉鎖の治療法には他にも涙点を縫い合わせる手術もあります。
一度、涙の分泌量が減ってしまうと残念ながらこれまでの涙の量に戻りません。
ドライアイの原因は様々なため、軽症と重症で治療法は異なってきます。
眼科医に一度相談し、あなたの症状にあった適切な治療を受けましょう。
最後に…
目の乾きは一時的な不調かもしれないですし、ご自身では判断できない病気です。
しかしながら、ドライアイを放置して重症化すると「シェーグレン症候群」と呼ばれる涙腺の炎症が慢性的に起こる自己免疫性のドライアイになったり、角膜が傷ついて光が通りにくくなり視力が低下したり、細菌が入り込んで重度の角膜感染症を引き起こすこともあります。
心当たりのある方はドライアイだからと言って甘く見ず、眼科医に相談しましょう。