最近では薬局で薬をもらう際に「ジェネリック医薬品にしますか?」と聞かれたり、CMをしていたり、ジェネリック医薬品という言葉は広く浸透してきています。
ジェネリック医薬品は「新薬(先発医薬品)と同じ効き目で費用が安い」と耳にすることは多いですが、それ以上の情報を知っている人は少ないのではないでしょうか。
ジェネリック医薬品と先発医薬品の違いやメリット、デメリットを知って薬に対する知識をつけましょう。
ジェネリック医薬品とは?
ジェネリック医薬品は“後発医薬品”とも呼ばれており、新しく開発された先発医薬品の20~25年間の特許期間が過ぎた後に他の製薬会社が同じ有効成分を用いて製造・発売した医薬品のことです。
新薬の開発には約10~15年の研究期間や数百億~数千億円の費用がかかると言われており、先発医薬品には開発にかかるコストなどを加味した価格がつけられています。
一方ジェネリック医薬品は、既に安全性や有効性が確認された先発医薬品と同じ有効成分を使うため、開発期間は約3年、開発費用は約1億円で済みます。
先発医薬品と比べて少ないコストで開発することが可能なため、価格を抑えることができ、国が先発医薬品の2~5割程度の価格に設定しています。
ジェネリック医薬品と先発医薬品の違いは?
ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ有効成分が配合されているため、同じ効果があるとされています。
他にも「ジェネリック医薬品は先発医薬品より飲みやすくなっています」などと謳っているものもあります。
基本的な効能・効果や用法・用量は同じですが、製品によっては先発医薬品と比べて薬の大きさや匂い、味、剤形などを改良して飲みやすくしていたり、温度や湿度、光などに対しての品質改良を行い、保存性を高めているものもあります。
このように飲みやすさや保存性を工夫しているため、主成分である有効成分は同じでも添加物などはそれぞれのメーカーで異なり、先発医薬品と全く同じ薬というわけではありません。
医薬品の特許
薬にはさまざまな特許があり、有効成分の特許である「物質特許」の他にも製造方法に付与される「製法特許」「製剤特許」などがあります。
物質特許が満了していれば先発医薬品と同じ有効成分を使用した薬を製造することができますが、製剤特許や製法特許が満了していなければ同じ添加物や製法で医薬品を製造することができません。
そのため製剤特許などがある場合は、錠剤やカプセル剤、粉末、注射剤といった薬の剤形を先発医薬品と同じにできないため異なる剤形にせざるを得ません。
また「用途特許」というものもあり、一部の効能・効果や用法・用量に対して先発医薬品にしか認められていないものがあり、ジェネリック医薬品とは効能・効果や用法・用量が異なる場合もあります。
効果や副作用に差はあるの?
ジェネリック医薬品は、有効成分の安全性が確認された先発医薬品を基に製造されているため、有効性や安全性の試験は必要がなく、ジェネリック医薬品が承認されるための試験項目は先発医薬品と比べて少なくなっています。
有効成分の量や質が同等であるかなど品質を確認する試験、有効性・安全性が同等であるかを確認する試験があり、有効性・安全性を確認する「生物学的同等試験」はヒトに投与して血中濃度を測定し、有効成分が入る量や速さを調べ、統計学的に先発医薬品と差がないことを調べます。
このようにジェネリック医薬品は品質や安全性の基準をクリアしていますが、ジェネリック医薬品は先発医薬品と全く同じ効果があるとは限りません。
生物学的同等試験において「先発医薬品と比較して統計学的に差が無い」とされるため同等性を謳っていますが、厳密にいえば「完全に同じ効果」とは言い切れません。
製造メーカーにより有効成分の質に差があったり、添加物や製法も異なります。
使われる添加物は安全性など基準をクリアしたものですが、添加物が変わると、製剤の溶け方や溶ける速度、薬の吸収速度や有効成分が分解される状態にも影響を与えます。
そのため、ジェネリック医薬品に替えた場合は薬の作用が変わってしまう可能性があります。
薬が効きすぎたり、反対に効果が出にくくなったり、副作用の出方に違いが生じる可能性があります。
しかし日本におけるジェネリック医薬品の承認基準は他の国と比較して圧倒的に厳しいため、その基準をクリアしたジェネリック医薬品は信頼のおけるものであることは間違いありません。
また価格も安く設定されているため、患者負担や国の負担も軽減できるというメリットもあります。
先発医薬品と全く同じジェネリックってあるの?
最近ではオーソライズドジェネリックというものも出てきています。
これは、先発医薬品を製造販売するメーカーから特許権の許諾を受けた後発医薬品メーカーが販売するジェネリック医薬品のことです。
他のジェネリック医薬品と違う特徴は、原料や添加物、製造方法が先発医薬品と全く同じであることと、特許権の許諾を受けているため、先発医薬品の特許が満了する前に発売が可能です。
開発にかかるコストが抑えられているため、他のジェネリック医薬品と同様に安い価格になっています。
オーソライズドジェネリックの中には、先発医薬品メーカーと同じ技術者、製造ラインを用いて子会社が製造しているものもあり、先発医薬品と全く同じ効果が期待できます。
しかし全ての先発医薬品に、ジェネリック医薬品やオーソライズドジェネリックがあるわけではありません。
また、ジェネリック医薬品の名前は「一般名+メーカー名」であるため、名前だけではオーソライズドジェネリックと他のジェネリック医薬品との見分けはつきません。
同じ薬でも人によって効果や副作用に差があります。
先発医薬品やジェネリック医薬品はどちらが良い、悪いとは一概には言えません。
薬局や病院で勧められたからジェネリック医薬品にするというのではなく、まずはきちんと薬の事を知り、より自分に合った医薬品を選ぶことが大切です。
(文・元MR)
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