奈良県では、「なら健康長寿基本計画」を策定し、日常的に介護を必要とせず、健康で自立した生活ができる期間(65歳平均自立期間)である「健康寿命」を平成34年度までに 日本一にすることを目標に取り組んでいます。
平成28年時点で男性が全国3位、女性が18位となっています。
何をすれば健康寿命が伸びるのかについての施策などをこれから説明していきます。
論文結果
国内外の論文で研究したところ、男性は1位たばこ、2位減塩、3位飲酒、4位運動、女性は1位減塩、2位運動、3位血圧、4位たばこでした。
この結果を受けて誰でも気軽に健康づくりを開始し実践できる拠点として「奈良県健康ステーション」を開設しました。
奈良県健康ステーションは奈良県橿原市にある「橿原ステーション」と奈良県北葛城郡王寺町にある「王寺ステーション」の2箇所で開設されています。
健康ステーション
健康ステーションでは
①健康チェック
②おでかけ健康法紹介&交流
③身体活動量計2週間体験
④おでかけ健康モニター
⑤健康サポーター
上記5つの機能があります。
①健康チェックでは体組成計や骨健康度測定器、自動血圧計、血管年齢計など最新の健康機器で誰でも気軽に健康チェックを行うことができます。
②おでかけ健康法紹介&交流では日常生活の中で取り組める 「おでかけ健康法」をDVDやリーフレットで紹介したり、ミニ健康講座やモニター等の交流会を行なっています。
③身体活動量計2週間体験は40歳以上の方を対象に身体活動量計を2週間貸し出し、返却時に「おでかけ健康度」を診断します。
身体活動量計とは歩数計とは違い、左右、 上下、前後の3軸の加速度センサーで細かく体の動きを測定することで歩数と中強度(速歩き)の時間がわかったり家事などの動きも歩数に換算できます。
④おでかけ健康モニターは身体活動量計2週間体験者のうち運動習慣のない方(具体的には1日の歩行数8000歩未満、中強度の運動が1日20分未満の方)に長期的に身体活動量計を貸し出して実践するモニターの登録をおすすめしています。
おでかけ健康モニターの実践内容は自分にあった目標を決め、身体活動量計を毎日携帯して生活をします。
そして月に1度健康ステーションで身体活動量計に蓄積されたデータを評価シートで確認したり、6ヶ月ごとに健康ステーションで体組成、血圧を測定しデータ提供を行います。
⑤健康サポーターは健康ステーションに常駐しているスタッフが健康チェックをサポートをするなど健康づくりのお手伝いをします。
健康ステーション開設後の動き
健康ステーションのオープン後4年目の状況は、橿原ステーションでは延べ151,622人(1日平均113人)、王寺ステーションでは54,873人(1日平均69人)が来場し、身体活動量計2週間体験を実施した人数は橿原ステーションで2,352人、王寺ステーションで1,711人でした。
身体活動量計2週間体験者のうち運動習慣のない方に対しておでかけ健康法の継続的な実践を働きかけたところ、橿原ステーションではその76%に当たる1,319人の方が、王寺ステーションでは92%にあたる1,303人の方が新たにおでかけ健康モニターとして、おでかけ健康法を実践しました。
健康ステーション体験者からは「病院から歩くことを勧められているが、どれだけどういう風に歩くのか目安ができてうれしい。」等の声がありました。
また、身体活動量計2週間体験者からは「家の中を動いているだけでは中強度の運動にならないことがわかった。」等、おでかけ健康モニターでは「血圧やコレステロールの値が改善してきた。」「少しでも歩く習慣がついた」等の声があり、健康意識が上がっていることがわかりました。
このような奈良県の取り組みを受けて市町村でも健康ステーションが運営されるようになりました。
現在
現在では天理市、大和高田市、明日香村で健康ステーションがありますが、それぞれの市町村にお住いの方のみの利用となっています。
また、奈良県では健康ステーション運営以外にも、生活習慣病予防を目的とした「なら10minutes Exercis」や、いつまでもしっかり歩けるために必要な筋力の維持向上を目的とした「ステップアップ歩行」、健康的な生活の維持を目的とした「元気歩行」、食物や細菌が気管に入り込む誤嚥による肺炎の発症事例が高齢者に多いことを背景に作られた「誤嚥にナラん!体操」などオリジナルの運動を開発して健康促進に取り組んでいます。