日本では超高齢化が進んでいく中で、介護職の人手不足はどんどん広がっています。
その中で、介護福祉士は介護業界の中でも大きな期待を寄せられる職業で、これからも需要は増えていくと言われています。
今回は、そんな介護士について詳しく見ていき、今後の将来性についても述べたいと思います。
介護士のお仕事について
介護の仕事は、介護施設にて高齢者の身の回りの介助をする仕事です。
利用者様が、その人らしい生活を送れるように日々手助けを行います。
具体的な仕事内容は、高齢の方が自分で出来ないところを援助することになります。
・入浴介助
・排泄介助
・食事介助
・レクリエーション
・口腔ケア
・移動、移乗介助(トランス)
・就寝介助
老人ホームやデイサービスなど施設の業態も様々なので、仕事内容も一概に同じとは言えませんが、代表的な仕事内容としては上記の内容となります。
入所施設の場合では介護職員は24時間を通して介護をする為、勤務は交代制となります。
また、介護の仕事をする際に資格も様々で
① 介護職員初任者研修
② 介護福祉士実務者研修
③ 介護福祉士(国家資格)
④ ケアマネージャー(介護支援専門員)
⑤ 介護事務
などが主要なものとなります。
施設で介護サービスを提供する介護者は介護福祉士が最も最上位にあたり、専門学校等に通うか、働きながらの場合初任者研修→実務者研修を経て、試験合格後に獲得できます。
ケアマネージャーは介護が必要な方に対して心身の状況や環境などを考慮して介護サービスを提供できるようにするため、ケアプランを作成します。
また、介護事務に関して、介護サービスは保険制度を利用しているため、介護保険請求などの専門知識を有します。
介護職と言っても、様々な仕事がありそれぞれ重要な役割を担います。
介護施設の種類
介護士が働く職場にも様々な種類があります。
施設は種類ごとに利用目的や要介護度、提供サービスの内容も異なります。
ここでは、介護職が知るべき主な施設の種類と特徴を紹介します。
① 特別養護老人ホーム(通称:特養)
自治体や社会福祉法人が運営している公的施設です。
利用者は要介護3以上でないと利用出来なく、比較的重度の方が入所します。
仕事内容は入浴、移動、排せつなど身体介護が多めです。
② 有料老人ホーム(通称:有料)
民間企業が運営している施設です。
大きく2つに分かれ、「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」があります。
前者はその名の通り介護サービスを提供し、後者はあくまで高齢者向け住宅という位置づけになります。
有料老人ホームの入居条件は施設によって様々で要介護認定を受けていなくても入居できる施設もあります。
③ 介護老人保健施設(通称:老健)
医療法人や社会福祉法人などが運営する公的な介護保険施設です。
病状が安定して退院した高齢者が、自立した生活にもどれるようにリハビリを行っていきます。
常駐している医師や理学療法士、看護師など多職種連携して動くのも特徴的です。
④ グループホーム
認知症の高齢者が共同して生活する施設です。
基本的に9人までのグループを作って、家庭のようなアットホームな空間で生活します。
そのため、介護士の入居者とのかかわり方も家族的な雰囲気となるでしょう。
一緒に食事や家事などをして認知症の進行を少しでも遅らせるようにケアします。
⑤ サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
有料と同じく、介護のためではなく「高齢者向けの住宅」という位置付けです。
なので、介護サービスの提供はなく、受ける場合には利用者が外部の訪問介護業者やデイサービスと契約する必要があります。
サ高住の場合でも、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている場合は介護サービスも提供されます。
⑥ デイサービス(通所介護)
自宅に住む高齢者を迎えに行き、施設で食事や入浴、機能訓練などを行い日中を過ごします。
自宅にこもりがちな高齢者を引き出して孤立感を解消するのもデイサービスの目的です。
職員の仕事としては、レクリエーションの企画や運営なども大きなウェイトを占めてきます。
このように介護の職場は、利用者様の状況や目的などによって変化していきます。
上記にも施設はあり、介護のお仕事を探しているのであれば、どういう業態・仕事内容を確認するのが良いかもしれません。
介護福祉士の需要と国の政策
高齢化が進むことによって、それに伴い介護サービスの需要は高まり、介護業界は成長の一途をたどっています。
現に介護施設の件数は増えており、施設の運営に欠かせない介護福祉士の資格者は貴重な存在と言えるでしょう。
2015年では介護職員数は全サービス総計でも183万人程おり、介護保険制度がはじまった2000年と比べても約3.3倍ほど増えています。
一方で要介護認定者の数も年々増加し2015年には608万人まで増加しているため、介護職員が充足しているとは言い難いです。
また、介護職の業務はきつい仕事にもかかわらず薄給という印象から介護福祉士として働く人も多いとは言えません。
現に、すべての産業と比べると、月給が10万円ほど低いと言われています。
厚生労働省によれば、2025年度には約38万人の介護職が不足する見込みのため、国としてもどうにか介護職に就く人を増やそうと、様々な政策を打ち出しています。
① 処遇改善加算策
介護職のためにキャリアアップの仕組みを作成や、職場環境の改善を行った事業所に対して、介護職の賃金を上げるためのお金を支給するという政策です。
支給されたお金は介護職員に賃金として還元することが義務付けられています。
また、今後政府はさらに約1,000億円規模の財源を投入し、勤続10年以上の介護福祉士に月額8万円相当の賃上げを行うことを閣議決定されています。
② 外国人の登用
2017年11月から外国人の技能実習分野に介護が追加されました。
それに伴って政府は外国人実習生が介護福祉士資格を取得した場合も在留資格を認める方針を決めています。
今後は、日本における外国人労働者が介護職に就くケースも増えてくるでしょう。
深刻化する介護職不足に向けて、2018年2月20日の経済財政諮問会議でも、専門技能を有する外国人労働者の受け入れ体制を拡大しようと具体的な検討を開始するよう決定されました。
また、外国人労働者が増えることで治安の悪化を懸念される反面、介護の現場の声で「外国人労働者の受け入れによる職場環境への影響」を全国の291施設にアンケート調査したところ、「職場環境に良い影響があった」「どちらかというと良い影響があった」と回答した施設が78.7%でした。(出展:生命保険文化センター 2018/2/26)
全体の約8割の施設が外国人労働者に好印象を持っていることがわかります。
確かに、言語や価値観の違いによる問題もありますが、急速に高齢化が進む中で外国人労働者の力が介護職不足の補完につながる可能性があります。
③ 介護ロボットの導入による労働の緩和
最近では、色々な分野でAI化が進んでいる中、介護業界にも介護者の負担を減らすためロボットが進出しています。
介護ロボットは以下のように大きく3つに分けられます。
・介護支援型
主に移乗、入浴、排せつなど介護業務の支援をするロボットです。
移動や移乗は人の手で行われていることも多く、介護者の腰痛などを引き起こします。
また要介護者としても落とされる不安や痛みも伴うことがあります。
介護者と要介護者の両方の負担を減らすことが望めます。
・自立支援型
自立支援とは要介護者が歩行、食事、リハビリ等などの自立を手助けすることです。
自立支援ロボットはこれを助け、利用者が上肢や下肢に装着して運動機能を補助するものや、身体の一部を動かすだけで食事が出来たりするようにします。
利用する人の生活力向上させることで、自信をつけさせることが期待できます。
・コミュニケーション セキュリティ型
利用者とコミュニケーションをとることで、メンタルケアや見守りに活用するロボットです。
言語だけでなく、音楽や体操などのレクリエーションを通して要介護者のメンタルケアをサポートします。
介護施設や在宅介護でもロボットで見守りし、要介護者が自発的に助けを求めるのに依存せず、センサー等で自動的に介護者に知らされることで、見守りが可能となります。
以上のように、それぞれの状況にロボットが開発されています。
もちろん、普及にはまだまだ課題や問題が山積みですが、間違いなく介護ロボットが進化すれば、介護者の負担を軽減し、介護者不足の救いになるでしょう。
参照元:厚生労働省