薬剤師の今後の在り方

医薬品全般について幅広い知識を持つ「薬」の専門家である薬剤師。

薬剤師になるには正規の薬学課程のうち修業年限を6年必要とし、その後国家試験に合格する必要があります。

専門性の高い薬剤師ですが、その在り方も世間の状況に応じて変化しつつあります。

今回のトピックでは薬剤師について見ていきたいと思います。

薬剤師の現状

薬剤師関連の情報誌やwebサイトでは「薬剤師不足」という文字を見かけるのではないでしょうか。

しかし、実際のところこれは誤りで薬剤師資格を保有している人は飽和状態にあると言われています。

平成28年12月31日において、全国の薬剤師数は301,323人で年々増加している傾向にあります。

ではなぜ薬剤師が足りていないと言われるのでしょうか。

その原因は、地域によって薬剤師の需要と供給のバランスが合っていないことです。

人口は都市部に集中するため、当然ながら薬局も都市部に流れます。

このため、薬剤師は偏在化し地方の薬局・病院は必然的に薬剤師不足となるからです。

今では高時給や高待遇で人を何とか集めようとしています。

 

薬剤師の業務

薬剤師の業務といえば、薬局や病院で調剤に携わるだけではなく、学校での環境衛生管理や医薬品の研究開発など幅広く活躍出来ます。

 

□薬局の薬剤師

処方箋による調剤・くすりの正しい指導や飲み合わせのチェックから、患者様に応じて症状に合ったOTC医薬品を勧めたり、場合によっては専門医の受診を勧告したりします。

薬局に従事している薬剤師の数は172,142人と総数の57.1%

 

□病院・診療所の薬剤師

医薬品の調剤や服薬指導はもちろん、注射薬や点滴の調整・管理なども行います。

お薬を有効かつ安全に使用するため、血中濃度を測定したり患者様に適した投与量・投与方法を決定します。お薬の吸収や副作用などをチェックし、改善策を医師等に助言したりなども行います。

医療施設に従事している薬剤師数は58,044人で総数の19.3%を占め2番目に多いと言われています。

 

□製薬会社の薬剤師

医薬品の研究・開発・品質管理のほかにも、医薬品に関する情報を収集・管理し、医療従事者に対して適切な専門的な情報を提供します。

また、企業内ではMR(医薬情報提供担当者)に対して学術指導を実施したりします。

他にも、化粧品は薬事法で取り扱いを規制されていることから、化粧品メーカーで商品開発をする薬剤師もいます。

 

□学校の薬剤師

主に薬局薬剤師や病院などの薬剤師が教育委員会から委任されます。

小中学校・高等学校において学校保健の一旦を担います。

業務内容としては、校舎の衛生管理やプールや水道の水質検査、教室の空気や温度・湿度などを定期的に検査し、その結果に応じて学校側に指導や助言をします。

また、生徒を対象にくすりの正しい使い方や薬物乱用防止、たばこ、アルコールの害などについて授業をする場合もあります。

 

このように、薬剤師業務は調剤業務以外にも様々な分野で活躍しています。

現在では、科学技術は進歩し自動の分包機や監査システムなども発達しているため、薬剤師業務のAI化が進んでいます。

また、まだあまり浸透していませんが薬剤師の負担を減らす「テクニシャン制度」の導入などに応じて、今後の薬剤師の業務も多様化していく可能性があります。

 

※テクニシャン制度:薬剤師免許を持たないスタッフ(例えば医療事務など)が薬剤のピッキングなどを支援する制度のこと。

業務分担によって薬剤師の負担を減らすことが可能。

 

今後、薬剤師に求められること

日本は少子高齢化が進む中で、医療費の高騰を何としても抑えなければなりません。

そのため、今後の薬剤師の在り方としてはOTC販売によるセルフメディケーションの推進や在宅医療、医師・看護師・介護士などコメディカルとの多職種連携が重要になってくると言われています。

もはや処方箋通りに調剤をしてお薬を提供するだけでなく、時代の流れに応じて国の政策に適した薬剤師が今後求められるのではないでしょうか。

 

~セルフメディケーションにおける薬剤師の姿~

まず、そもそもセルフメディケーションとはどういうものかを説明します。

生活習慣の変化によって生じるアレルギー性の疾患や生活習慣病の増加や高齢化が進むことで退行性疾患が多くなっています。

このような疾患から身を守るためにはすぐに病院にかかるだけでなく自分自身の健康に対して責任をもち管理することが重要だと考えられます。

軽度の不調などは自分で手当し管理すること、これがセルフメディケーションです

セルフメディケーションを国民に実践してもらう上で薬剤師に求められることを以下にまとめました。

 

①一般用医薬品の適切な選択及び使用法・保管法等の相談役。

②一般用医薬品を使用する人の自己の健康管理に対する理解度や症状を考慮して、医薬品使用の可否を判断し、場合によっては医師の受診を勧めること。

③「市販後調査」への協力を含む使用後のフォロー。

④その他、健康増進・疾病予防活動や健康教育への協力や療養環境等の保全など。

 

薬剤師は薬のスペシャリストとして、国民の医薬品の適正使用を導く必要があります

国民が「健康管理」を意識し、そこに薬剤師の「健康支援」が正しくされた時により良いセルフメディケーションが実現します。

※市販後調査:新しい医薬品が販売開始した際に、有効性・安全性の確認と治験の段階では得られなかった新たな作用や副作用に関する情報収集のために行われる調査の総称。

 

~在宅医療における薬剤師の役割と多職種連携~

在宅医療とは、自宅で療養を希望する患者様に対しての医療行為のことを言います。

これには医師の定期的な訪問診療や看護師の訪問看護など多くの医療従事者が連携する必要があります。

もちろん、そこに薬剤師も連携に加わり重要な役割を果たします。

 

薬剤師が在宅医療に加わることで、患者様やご家族の負担や不安を和らげられる可能性があります。

例えば、薬剤師が直接薬をお届けするため、薬局に行く負担を減らすこともできます。

また、あらかじめ朝・昼・夜などの飲むタイミングに応じて薬を整理する「一包化」を行います。

それを日付や曜日ごとに分けカレンダーなどにセットするため、患者様はどのタイミングに薬を飲めば良いか迷わなくて済みます。

こうすることによって薬の飲み忘れを防止し、逆に薬が余ることがなく薬剤費の削減にも繋がります。

訪問時には医師も一緒に行くことで、服薬状況や薬の効果・副作用が出ていないかを確認し、その場で医師に薬の種類や用量の変更を提案することもできます。

このように、直接自宅に薬剤師が行くことで、患者様はもちろん、ご家族の負担も軽減することが可能です。

 

しかしながら、在宅医療の普及は2018年の現時点でもまだまだ普及しているとは言えません。

そのため在宅医療に関わる医療スタッフが少ないこともあり、地域によっては医療者を選ぶことが難しく医療の質を求められない場合があります。

また、在宅では精密な画像検査などは出来ないため高度な医療を求める方は満足できないこともあります。

 

在宅医療にもメリット・デメリットがありますが、人生の最終段階において患者がどう過ごすかの選択肢の1つとなり、高齢化が本格化する日本において重要視されていくと言われています。

参照元:厚生労働省

・「平成28年 医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」(外部リンクに飛びます)

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