2018年8月21日、首都圏の風疹患者数の急増を受け、国立感染研究所感染症疫学センターは緊急情報を発表しました。
8月6~12日の累積数が139人となり、過去2年間(16年、17年)の年間累積報告数を超えたと言われています。
風疹とは
風疹は、風疹ウイルスによって引き起こされる急性の発疹性感染症です。
感染経路は、飛沫感染で、ヒトからヒトへと伝播します。
感染後、上気道粘膜、所属リンパ節で増殖し、ウイルス血症を起こします。
感染すると約2~3週間の潜伏期間の後、発熱や発疹、リンパ節の腫れといった症状がほぼ同時に出現します。
発疹は、全身に粟粒大の丘疹が出ますが、数日で消失します。
口腔内にフォルヒハイマー斑という点状紅斑・紫斑が見られるケースもあります。
感染した人の内30~50%は症状がはっきりしない軽いものから、脳炎や血小板減少性紫斑病を合併するなど、入院を要する重篤なものまでと幅広く決して軽視はできない疾患です。
発疹が出る2~3日前から発疹が出た約5日後まで感染性があります。
成人や妊婦の感染
成人で感染した場合、高熱や発疹が長続いたり関節痛がひどいなど、小児より重症化することがあります。
妊娠20週頃までの妊婦が感染すると、眼や心臓、耳等に障害をもつ先天性風疹症候群をもつ子どもが出生する可能性があります。
(妊娠1ヶ月でかかった場合50%以上、妊娠2ヶ月の場合は35%ともいわれています)。
予防
風疹はワクチンで予防可能な感染症であることから、男女ともにワクチンを受けることが重要です。
国立感染症研究所は、特に30~50歳代の男性で風疹にかかったことがなく、風疹含有ワクチンを受けていない、または、接種歴が不明の場合は、早めに麻疹風疹混合(MR)ワクチンを受けておくことを勧めています。
女性は2回の風疹含有ワクチンを受けて、感染予防に必要な免疫を妊娠前に得ておくことが重要です。
なお、妊娠中は風疹含有ワクチンの接種は受けられず、受けた後は2カ月間妊娠を避ける必要があるります。
妊娠中、特に流行地域においては、可能な限り人混みを避け、不要不急の外出を控えるようにしてください。
また、妊婦の周りにいる人(妊婦の夫、子ども、その他の同居家族等)は、風疹を発症しないように予防に努めることが大切です。
風疹の最新発生報告数は、定期的にNIID国立感染症研究所「感染症発生動向調査(IDWR)」(外部サイトに飛びます)に掲載されます。