日本人の平均寿命は、2017年度は男性が81.09歳 女性は87.26歳と男女共に過去最高を更新したことが厚生労働省の調査で分かりました。
前年度に比べても記録は更新され国.地域別では男性は世界第3位、女性は世界2位となっており、平均寿命が75歳を超えたのは1986年です。
クリニックに訪れる患者さんにおいては、90歳過ぎても毎日来院されてリハビリを受けたり、注射を受けたり自立されて、社会の話題も熟知されている方も少なくありません。
しかしながら全ての方が、当てはまることはなくて、健康寿命ということで見れば、平均寿命より男性は約9年、女性は約12年短いということをご存知でしょうか。
健康寿命とは
人が心身共に健康で自立して活動し生活できる期間を指します。
クオリティ・オブ・ライフという考えに根ざして、どれだけ健康で豊かに生きられるかを表す指標といえます。
具体的には自分で食事がとれて排泄ができ、入浴や衣服の着脱ができ移動などが可能でかつ認知症などを伴わずに自分の意志によって生活できる期間と考えて良いです。
厚生労働省の研究班が3年に1度の国民生活基礎調査によると、日本の健康寿命は調査対象とされている国の中では最高位に位置していて、2016年では男性は72.14歳、女性は74.79歳と公表されています。
健康寿命は男女共に年々伸びているものの地域差はあり、岡山県、広島県、鳥取県(女性のみ)においては平均寿命は全国14位以内にはいるものの、健康寿命は20位〜46位と下位(短い)に位置づけされているという現状です。
各県の取り組み
岡山県
岡山県は「健康寿命の延伸」をスローガンに掲げ、「晴れの国おかやま 生き活きプラン」を推奨しています。
1.健康づくりの普及
2.住民の心の健康の向上
3.喫煙率の減少
を3本柱とし、平成13年に策定した「健康おかやま21」の推進し、実行に移しています。
ロコモティブシンドローム予防の運動教室を開講したり、禁煙相談窓口「たばこクイットライン」を設けアドバイスを行なったり特定検診を受けるよう熱心に呼びかけたり、ライフステージ別の「食育ガイド」の作成を行なっています。
広島県
意欲的に健康づくりに取り組めるように「ひろしまヘルスケアポイント」制度を開始しました。
健康診断の受診やウォーキング健康教室に参加するとポイントがたまりポイント数に応じてスーパーの買い物ポイントと引き換えたり、イベントなどに参加出来るなどの特典が受けられます。
また、女性特有のガン検診の受診率が低下したことをふまえて「がん検診へいこうよ」推進会議が平成22年に設立され芸能人を起用してアピールし10月は女性のための「がん検診一斉受診月間」を設け働く女性が増え平日の時間が取れない方も利用しやすいように県内24の医療機関で10月の日曜日にガン検診を受けれるようにしています。
鳥取県
健康づくりに取り組んで貯めたポイントで総額100万円以上の景品をプレゼントするという「健康健民マイレージ事業」を実施しています。
がん検診(肺がん 乳がん 大腸がん 子宮頸がん)の受診率は全国8位以内に入っているものの、特定検診の受診率は全国35位と低い。
そこで、日々のウォーキング、禁煙、特定検診の受診、スポーツ大会の参加、スポーツジムに行くことや地域活動やボランティア活動でもポイントが加算されるようにしています。
また、鳥取県は自死者数は近年減少傾向にあるが全国で見ると高い水準にあるため、「とっとりSNS相談窓口」を設けて対応しています。
徳島県
徳島県は糖尿病死亡率が平成5年〜平均17年までワースト1位が続き「糖尿病緊急事態宣言」を行い県民総ぐるみで取り組んでいます。
「健康徳島21」と題して「今日も元気に歩かな損々」をキャッチフレーズに健康寿命の延伸に取り組んでいます。
平均寿命が毎年更新されてはいるものの人間の骨、関節、筋肉などの運動器は元々それほど長持ちしません。
高齢になっても元気で自立した生活ができるようにするためには、適度な運動をして体を動かし、運動器に負荷を与え、骨や筋肉が作られる元となる栄養素をきちんと食事でとっていくことがとても大切になってきます。
40歳を過ぎた頃から意識して実践するのが望ましいが何歳からでも遅くはありません。
平均寿命と健康寿命の開きを縮めて、毎日元気に暮らしていけることを願います。