冬が来て寒くなると、インフルエンザも流行してきます。
少しでもインフルエンザかなと思った場合、ご自身で判断せずにお医者さんに相談しましょう。
今回のトピックでは、少しでもインフルエンザへの理解を深め、正しい知識や予防法を身に付けて頂けたらと思います。
インフルエンザって?
そもそもインフルエンザとは、インフルエンザウイルスが原因の感染症です。
インフルエンザの流行には季節性があり、国内では例年12月~3月に流行し、短期間で多くの人に感染が拡がります。
例年の感染者数は国内でも推定約1,000万人と言われています。
インフルエンザには以下のように3種類あります。
A型インフルエンザ
他の種類と比べて症状が激しい型になります。
A型は世界的にもインフルエンザの流行として取り上げられることが多いと言われています。
またウイルスの構造をどんどん変化させて進化するので、獲得した免疫が機能しにくくワクチン予測が立てにくいインフルエンザウイルスです。
(特徴)
・38℃を超える高熱。
・肺炎などの、深刻な呼吸器系の合併症を引き起こす。
・喉の痛みが強く、食べ物を飲み込むのが困難になる。
・関節や筋肉の痛み。
・重症では脳炎や脳症などの合併症を引き起こすリスクがある。
B型インフルエンザ
以前はそこまで流行していませんでしたが、ここ数年はA型に続き毎年流行しています。
(特徴)
・胃腸風邪の症状に近く、下痢や腹痛を訴える人が多いです。
・人と人の間でしか感染しない。
C型インフルエンザ
一度免疫を獲得すると、終生その免疫が持続すると言われています。
そのため、再度かかったとしてもインフルエンザだとは気づかずに普通の風邪だと思ってしまうかもしれません。
(特徴)
・大人のほとんどが免疫を獲得しているため感染しにくい。
・4歳以下の幼児が感染しやすい。
・症状は鼻水くらいで、他の症状は現れにくい。
インフルエンザはA,B,Cの3つにはそれぞれ特徴があります。
喉の痛みや咳などの呼吸器症状だけでなく、高熱や倦怠感などの全身症状が強いです。
場合によっては合併症として気管支炎や肺炎、中耳炎など、また重大な合併症では脳症等も引き起こします
「インフルエンザとかぜ(感冒)はどう違うの?」と疑問に思われるかと思います。
風邪はライノウイルス・コロナウイルス・アデノウイルスなど様々なウイルスにより生じる病気です。
症状としてはのどの痛み、鼻水、咳などインフルエンザと似ていますが、強い全身症状が出ないのが特徴です。
発熱もさほど高熱に至ることもなく、重症化することはあまりありません。
これらの違いを踏まえて、少しでもインフルエンザと疑った際は出来るだけ早く医療機関を受診しましょう。
インフルエンザの予防法
インフルエンザにかからないようにするには普段からしっかりと対策が必要です。
予防接種
最も有効な手段の1つがワクチンの接種でしょう。
特に、高齢者や糖尿病などの基礎疾患を持つ人は免疫機能が低下している場合があるので予防接種をおすすめします。
ワクチンはインフルエンザの発症を約50~60%予防する効果があり、約80%の死亡を阻止する効果があると報告されています。
しかしながら、ワクチンも完璧というわけではなく予防効果が期待できるのは、接種(13歳未満の場合は2回接種)から2週間から5か月程度と人によってもばらつきがあり、ワクチン接種したからといって必ず感染しないというわけではありませんので注意しましょう。
人が多いところを避ける
インフルエンザの主な感染経路として「飛沫(ひまつ)感染」があります。
感染者の咳やくしゃみからウイルスが飛び散り、周りにいる人が鼻や口から吸いこむことで感染します。
流行の季節はなるべく人ごみは避け、外出する際はマスクの着用が防御策となります。
外出後の手洗い、うがい
手についたウイルスを無意識に目、鼻、口に持っていくことで感染する「接触感染」があります。
手洗い、うがいは手指、喉に付着したウイルスを物理的に除去するのに有効です。
感染者が使用した電話やドアノブ、食器、電車のつり革などあらゆるところにウイルスが付着している可能性があるので気を付けましょう。
適度な湿度の保持
インフルエンザウイルスは寒冷乾燥を好みます。
また、空気が乾燥すると喉の粘膜や防御機能が低下し、感染しやすくなります。
乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、適度に湿度を保ちましょう。
目安としてはウイルスの感染力が下がる湿度50~60%が良いでしょう。
(1961年 G・J・ハーバー氏の研究より)
十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
ウイルスに感染しないためには何より身体の免疫力を高めることです。
十分な休養と栄養バランスの取れた食事で身体の抵抗力を上げましょう。
症状を改善するには
インフルエンザに感染した場合は、まずは医療機関を受診し医師の指示に従いましょう。
症状を改善するにはウイルスの増殖を防ぐ「抗インフルエンザウイルス薬」の服用が有効です。
現在は治療薬も様々な種類があり、代表的なもので言えば
●タミフル(粉・カプセル)
●ゾフルーザ(錠剤)
●イナビル(吸入)
●ラピアクタ(点滴)
など年齢や体重、日ごろのお薬の服用状況などを考慮して選択されます。
抗インフルエンザウイルスを発症後すぐに服用することで、服用していない場合と比べても発熱期間が1~2日短縮され、ウイルスの排せつ量も減少して、症状が徐々に改善されます。
もちろん、治療薬だけに頼ってはいけません。
しっかりと水分補給をしながら安静にしましょう。
療養中にご家族に感染する可能性もあるので、移さないためにもマスクをしましょう。
インフルエンザは突然立ち上がったり、いきなり外に飛び出たりなど異常行動を起こしやすくなります。
特にお子さんを一人にしないようにしてください。
また、服用して熱が下がっても油断してはいけません。
体内からウイルスがすぐにいなくなる訳ではないので、薬の服用を途中で止めてはいけません。
体内に残っているウイルスが周りに感染する可能性があります。
お薬はきちんと使い切り、最低2日間は自宅で療養しましょう。
(文・薬剤師)