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日本の薬価制度

薬に値段をつける時に、日本では医療用医薬品の価格について製薬企業ではなく国が定める「薬価制度」がとられています。

「薬は変わらないのに薬局の窓口で支払う値段が変わった」と感じたことがある方もいるかもしれません。

医療用医薬品の価格設定の方法は他の一般的な商品やサービスとは大きく異なっているため、価格がどのように決められているのかわかりにくいのではないでしょうか。

そこで、今回は薬価制度について解説します。

薬の値段のしくみ

まずは薬の流れについて説明します。

薬の販売は、①製薬会社→②卸業者→③病院、薬局→④患者さんの順で販売されていきます。

それぞれの段階で薬の値段が決められて取引されますが、①→②の値段は製薬会社、②→③の値段は卸業者、③→④の値段は国が「薬価」として決めています

薬価を国が決める理由は、日本には健康保険があるからです。

欧米諸国では医薬品の価格を自由に決められる国もあり、金銭的に余裕がある場合は高額な薬や治療を用いたより良い医療が受けられます。

金銭的に余裕がない場合は希望する治療を受けられないこともあります。

一方日本では、1961年に国民健康保険事業が始まり、「誰でも・どこでも・いつでも」保険医療が受けることができるようになりました。

現在の日本では国民皆保険制度をとっており、すべての国民が公的医療保険に加入することでお互いの医療費を支え合っています。

保険証があれば、どこの医療機関にもかかることができ、公平な治療を受けることができます。

差のない治療を施すために、医薬品には公定価格である「薬価」が厚生労働省と中央社会保険医療協議会によって決められています

薬価はどうやって決められるの?

新しく開発された医療用医薬品は、様々な試験を経て有効性と安全性が確認された後に国の承認を得ます。

この時に薬価も決められます

日本における薬価の決め方には、大きく分けて2種類あります。

類似薬効比較方式・・・対象となる病気や薬の作用など効き目が似た薬がすでにある場合の算定方法です。

これは対象疾患や作用機序、投与経路などが最も似ている最類似薬を基準に薬価を決めます。

既存の薬の1日分の服用薬価を基本に、その新薬が効果的か画期的かなどを評価します。

似たような効き目をもつ医療用医薬品と比べて高い有効性などが認められると、画期的加算や有用性加算、小児加算など7種類の補正加算が行われ、価格が上乗せされます。

新規性の少ない医療用医薬品の場合には、過去数年間に販売された薬の中で最も低い価格になります。

日本では類似薬効比較方式が薬価算定の基本となっています。

原価計算方式・・・似たような効果の医薬品がなく、新薬と既存の薬の比較ができない場合の算定方法です。

原料費などの製造原価、研究開発費・販売費・流通経費などをベースに、製薬企業の利益を上乗せした価格を薬価として算定します。

原価計算方式でも、優れた新薬には補正加算がつきます。

類似薬効比較方式、原価計算方式のいずれの場合でも、算定された価格はその後いくつかの調整を経て最終的な薬価が決まります。

その1つとして、欧米主要国との価格の乖離が大きくならないようにする外国平均価格調整があります。

アメリカ・イギリス・ドイツ・フランスの4カ国の平均価格と比べて、1.25倍を上回る場合は引き下げ、0.75倍を下回る場合には引き上げの調整が行われます。

外国平均価格調整は2018年度から、原価計算方式で算定される新薬と、類似薬効比較方式で算定される新薬で薬理作用類似薬が存在しない新薬だけに適用することになりました。

ジェネリック医薬品の薬価はなぜ安い?

後発医薬品(ジェネリック医薬品)とは、新薬の特許期間が切れた後に出される薬のことです。

すでに安全性・有効性が確認されている先発品と同じ有効成分を使用することで、開発にかかるコストが大幅に抑えられるため、新薬に比べて半分程度の薬価になります。

薬の値段はどうして途中で変わるの?

日本の医療用医薬品は2年に1度「薬価改定」と言われる価格の見直しがあります。

医薬品卸業者から病院や薬局に対して実際に販売されている価格を調査し、その結果に基づいて改定しています。

見直しと言っても薬価が引き上げられることはほぼなく、基本的に値下げの方向で調整されます。

薬価改定のたびに価格が引き下げられるため、製薬会社が価格を自由に決めることができる国と比べて薬の値段が安くなっていく傾向があります。

薬価の引き下げは、医療費削減効果や医療費の国民負担の軽減につながるなどのメリットがあります。

その反面、新薬から十分な収益が得られなくなるため製薬会社の利益も上がらず、次の新薬開発へのモチベーションを損なう可能性があります。

その結果、収益性が見込まれない新薬の開発が後回しになり、医療現場で必要とされる新薬の研究開発が難しくなるといった問題があります。

医療用医薬品の価格には、研究開発費や原材料費以外に研究開発費などさまざまな費用を含んでいます。

国民皆保険を維持するために、医療費を抑えて国民がなるべく安い価格で医療サービスを受けられることが理想です。

しかし単に安いだけではなく、研究開発コストや効能等を考慮した上で製薬企業も患者さんも納得できる価格に設定されることが望ましいと考えられます。

そこで、特定の条件を満たした新薬に対して特許期間中は薬価の引き下げを行わず製薬会社が収益を確保できるようにし、その利益を新薬開発やまだ適応が認められていない医薬品の適応取得のための費用に使用することを目的として、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」という制度が作られました。

この制度の成果として、海外では使用されていても日本では使用できなかった未承認薬や未承認適応薬が、日本の患者さんに使われるようになってきました。

薬の値段は何を基準に高い・安いと判断できるのか答えはありません。

国民皆保険制度において膨れ上がる医療費を今後も全て賄うことは難しく、国民が負担できる保険料には限界があるため医療費削減も必要です。

製薬企業における新薬の研究開発や社会貢献などを考慮した薬価を定めなければ医療の質の向上は望めません。

望まれる医薬品が開発され、より良い医療が受けられるよう医療の発展を考えた薬価制度の確立が望まれます。

(文・元MR)

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