【症状】
月経困難症とは、月経の時に生じる下腹部痛、腰痛などの疼痛のことで、いわゆる生理痛のことを指す。
人によっては仕事や学業などの日常生活に問題が生じる場合もある。
月経の時に安静・就床を必要とする人は5%、就労などの日常生活に支障をきたす人は30%と言われており、
いつもと同じように日常生活を過ごせる人は全体の60~70%と言われている。
月経困難症は、器質的な異常を伴わない機能性月経困難症(原発性月経困難症)と、
器質的疾患を伴う器質性月経困難症(続発性月経困難症)とに分類される。
前者は、初潮から1~2年で始まり、後者は、20歳代後半から症状が出る場合が多いと言われている。
【原因】
結婚前の若い女性の月経困難症は心理的な要因が強く作用している場合が多い。
特に幼年時の教育で月経に対してマイナスのイメージ(月経は汚れている、煩わしい、痛いなど)を受けている場合に、
月経困難症の症状がひどくなる場合があると考えられている。
機能性月経困難症の場合、月経時に子宮内膜で作られるプロスタグランジン(全身の平滑筋を収縮させ頭痛、
嘔吐などの原因となる)の産生過剰などが考えられている。
器質性月経困難症の場合、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などによるものが多く、
子宮の奇形によることもまれにあると考えられている。
【対処方法】
月経困難症全般に対する簡易的な対策としては
・安静にして過ごすこと
・使い捨てカイロなどで、腰やお腹を暖める
・足浴、半身浴などで血液循環を良くする
などがあげられる。
重度の困難症の場合には低用量ピルの処方や、外科的手術による神経の切断なども有効とされている(手術中に他の骨盤内臓器を傷つける危険があるので医療機関は慎重に選ぶ必要がある)。
器質性月経困難症と機能性月経困難症の治療法は以下の通り異なる。
■器質性月経困難症の場合
原因疾患(子宮筋腫・子宮内膜症・膣炎・卵管炎・卵巣嚢腫・骨盤腹膜炎・虫垂炎など)を
特定した後に原因疾患毎の治療が行われる。
■機能性月経困難症の場合
プロスタグランジンの合成を阻害する鎮痛剤の服用、子宮収縮を抑制する薬の服用、
排卵を抑える低用量ピルの服用などの薬物療法が用いられる。