体がだるい、立ち上がった時にフラフラする、顔色が悪い。
こういった症状が出た時に「もしかしたら貧血かも」と考えるかもしれません。
貧血と同じような症状があっても他の病気の場合や、無症状でも貧血という場合もあります。
貧血の程度と症状の強さは一致しないことも多く、貧血は症状のひとつであり何らかの原因が必ず存在します。
貧血と聞くと軽く聞こえるかもしれませんが、貧血の原因を調べずに放っておくと危険な病気が隠れている可能性があるため決して軽視してはいけません。
貧血の症状、原因、治療についてお伝えします。
そもそも貧血って?
貧血で多い症状は、だるい、疲れやすい、動悸や息切れがするといったものです。
めまいや立ちくらみも貧血の症状に挙げられることがありますが、立ちくらみは起立性低血圧や脳貧血と言われ、血液に異常のある貧血とは別のものです。
貧血とは、赤血球やヘモグロビンが低下する病気の総称です。
血液の働きの中で最も重要なのは、酸素を全身に運搬することです。
赤血球にあるヘモグロビンがこの働きを担っていて、血液が酸素を運搬する能力はヘモグロビン量とほぼ比例しています。
そのため赤血球やヘモグロビンが減少すると全身に酸素を十分に運ぶことができず、脳、筋肉、心臓などの全身の組織が酸素不足になりさまざまな症状が起こります。
脳の酸素不足では頭痛やめまいが起こり、筋肉の酸素不足では身体がだるさや疲れやすさを感じます。
心臓の酸素不足により狭心症のような胸痛が起こったり、呼吸や心拍数が多くなることで息切れや動悸を感じます。
赤血球減少により、顔面蒼白や浮腫が見られる場合もあります。
ヘモグロビンは鉄を材料にして作られるため、身体にとって鉄分は非常に大切な栄養素になります。
鉄分不足が原因である鉄欠乏性貧血は数ある貧血のうち約8割を占めているといわれており、10~40歳代の女性に多く見られます。
また高齢者ではガンが貧血の原因として見つかる場合があります。
貧血の原因は多様なため、治療法も多岐にわたります。
貧血の種類
貧血には様々な原因があり、主なものは以下の通りです。
1.ヘモグロビンの合成が出来ない
2.赤血球やヘモグロビンの数が減少する
3.赤血球やヘモグロビンなどが破壊される
4.血液が薄まる
貧血の原因の例
鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血は赤血球の材料となる鉄が不足し、ヘモグロビンが作られなくなるために起こる貧血です。
貧血の中で最も多い約70~80%を占めており、比較的治りやすいと言われています。
鉄欠乏性貧血は、ダイエットや偏食などでの食生活の乱れにより栄養や鉄分が不足することで起こったり、妊娠や授乳など鉄が多く必要になる場合に起こりやすくなります。
また、月経過多や潰瘍、ガンなど他の病気による消化管出血などで血液が失われた場合や、消化器官の異常による鉄の吸収障害などで起こる場合もあります。
治療法としては、鉄が欠乏した原因を調べてその原因を治療するとともに、鉄分の薬を内服することが基本です。
また食事療法も重要で、鉄分を多く含む食品や鉄の吸収を助けるビタミンC、赤血球やヘモグロビンの材料となるタンパク質を意識的に取ることも大切です。
再生不良性貧血
血液が作られている骨髄の中にある造血幹細胞が何らかの原因で傷害されることで、血液成分を作る機能そのものが低下し、赤血球だけではなく白血球や血小板など全ての血液成分が減少する病気です。
生まれつき起こる先天性再生不良性貧血はごく稀で、後天性再生不良性貧血がほとんどです。
後天性の中でも原因不明な原発性再生不良性貧血が90%以上で、残りは放射線、抗ガン剤、鎮痛薬、抗生物質などによる二次性再生不良性貧血です。
再生不良性貧血は全ての血液成分が減少するため、赤血球減少による症状に加えて、白血球減少によって咳や発熱などの感染症、血小板減少によってアザができやすくなったり鼻血や歯肉出血などの出血症状が起こります。
治療法は、重症度により異なります。
貧血や血小板減少の症状が強い場合には輸血が行われ、白血球を増やす顆粒球コロニー刺激因子の服用や鉄キレート療法など症状の緩和を目的とした薬剤治療が行われます。
また血液を作る働きを回復させる治療として、免疫抑制療法や蛋白同化ステロイド療法、造血幹細胞移植があります。
軽度、中等度であれば経過観察を行う場合もあります。
溶血性貧血
赤血球が破壊されて起こる貧血です。
赤血球の寿命は約100~120日で、寿命が過ぎると赤血球は肝臓や脾臓で破壊されて新たな赤血球が骨髄で作られます。
通常は骨髄が活発に働いて不足した赤血球を補っていますが、何らかの原因によって赤血球の寿命が短くなり、作られるよりも破壊されるスピードが速くなると赤血球不足が起こり、溶血性貧血になります。
溶血性貧血の典型では皮膚や目が黄色くなるのが特徴です。
原因のうち最も多いものが自己免疫性溶血性貧血で、免疫システムに異常が起こり、赤血球を異物と認識して抗体を作って攻撃することで起こるとされています。
また先天的な病気である遺伝性球状赤血球症は溶血性貧血の約10%を占めています。
治療法としては、自己免疫性溶血性貧血では副腎皮質ホルモンによる治療が中心です。
これで効果が得られない場合は、赤血球が破壊される主な組織である脾臓を摘出する手術が行われます。
脾臓摘出後も赤血球の破壊が改善しない場合や手術が困難な場合は、シクロスポリンなどの免疫抑制薬による治療が選択されます。
赤血球の破壊が激しい場合は、輸血による補充を行うこともありますが、輸血は一時的な対症療法に過ぎず、貧血の原因を治療することはできません。
原因が多岐にわたる溶血性貧血では、それぞれ治療が異なるため正確な診断を行なった上で治療法を決定することが重要です。
貧血と聞くと鉄分不足や食事の問題と思いがちですが、貧血にはさまざまな原因があります。
「たかが貧血」と考えるのではなく、一つの症状として貧血が現れているだけで、その裏に重大な病気が隠されていることもあります。
放っておくと命とりになることもあるため、しっかり検査を受けて貧血の原因を探ることが大切です。
該当する治験情報はありません
※登録情報更新のお願い※
新しい案件の募集が開始しましたら、ご登録情報をもとに優先的にご案内いたします。
ぜひ、登録情報の更新をお願いいたします。
登録情報の更新・追加はコチラ