調査では、日本人の約20%が不眠についての悩みがあり、3~5%の人が睡眠薬を服用しているという結果が出ています。
中には「なかなか寝れなくて困っている」「夜中に何度も起きてしまう」などのお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、多くの人の悩みである不眠症について解説していきます。
不眠症とは
「悩み事があった時期だけ眠れなかった」等の精神的なストレスが影響して一時的に眠れない状態は、不眠症には分類されません。
不眠症の診断基準は以下の通りです。
不眠症の診断基準
・睡眠の質や維持について訴えがある。
・訴えは適切な睡眠環境下において生じている。
・以下の日中の機能障害が一つでもある場合。
- ①倦怠感あるいは不定愁訴。
- ②集中力、注意、記憶力に問題がある。
- ③社会的機能の障害。
- ④気分がよくない。あるいは焦った感じがする。
- ⑤日中の眠気がある。
- ⑥やる気が起きない。
- ⑦仕事中、運転中のミスや事故の危険を感じる。
- ⑧睡眠不足のため緊張、頭痛、胃腸に症状がある。
- ⑨睡眠に関する不安がある。
不眠症の原因
不眠症の原因は大きく5つに分けられます。
場合によっては様々な原因が複合的に影響していることもあります。
不眠症の5つの原因
身体的要因
更年期障害による身体の火照りや動悸などの身体的な状態が原因で不眠症になることがあります。
生理的要因
日常生活のリズムの乱れや変化が原因となり、不眠症になることがあります。
リズムの乱れは、生理痛や月経前症候群などの女性特有の症状も含まれます。
心理的要因
心理的に大きなショックを受けるような出来事が、不眠症を招くことがあります。
不眠となった頃に嫌な事やショックな出来事がなかったか思い出してみましょう。
精神的要因
うつ病の方の90%をはじめ、不安やゆううつ、無気力、パニックなど気分がさえない方は、やはり早めに医師に相談しましょう。
薬剤的要因
普段内服している薬の副作用により、不眠となることがあります。
一つの薬だけでは、睡眠を阻害しなくても、飲み合わせによる副作用も考えられるので、長期的に内服をしている方は医師または薬剤師に相談してみましょう。
不眠症≠睡眠障害
過眠症・睡眠呼吸障害などの睡眠障害はよく不眠症と勘違いされますが、同じ意味ではありません。
代表的な睡眠障害は以下の通りです。
睡眠障害の代表例
過眠症…耐えがたい眠気や居眠りなどの症状。例:ナルコレプシー
睡眠呼吸障害…睡眠の際、一時的に呼吸が止まってしまう症状。例:睡眠時無呼吸症候群
むずむず脚症候群…不快な異常感覚により足を動かさないと居ても立っても居られない症状。
生活習慣の改善が大切
内服治療だけでは不眠症の根治には至らないことが多いです。
不眠症の原因となっている要因を解決する必要があります。
解決の糸口として、厚生労働省から睡眠障害対処12の指針が発表されているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
睡眠障害対処12の指針
1、睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
・睡眠の長い人、短い人、季節でも変化、8時間にこだわらない。
・歳をとると必要な睡眠時間は短くなる。
2、刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法
・就床前4時間のカフェイン 摂取、就床前1時間の喫煙は避ける。
・軽い読書、音楽、ぬるめの入浴、香り、筋弛緩トレーニング。
3、眠たくなってから床に就く、就床時刻にこだわりすぎない
・眠ろうとする意気込みが頭をさえさせ寝つきを悪くする。
4、同じ時刻に毎日起床
・早寝早起きでなく、早起きが早寝に通じる。
・日曜に遅くまで床で過ごすと、月曜の朝がつらくなる。
5、光の利用でよい睡眠
・目が覚めたら日光を取り入れ、体内時計をスイッチオン。
・夜は明るすぎない照明を。
6、規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣
・朝食は心と体の目覚めに重要、夜食はごく軽く。
・運動習慣は熟睡を促進。
7、昼寝をするなら、15時前の20~30分
・長い昼寝はかえってぼんやりのもと。
・夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響。
8、眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
・寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減る。
9、睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
・背景に睡眠の病気、専門治療が必要。
10、十分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に
・長時間眠っても日中の眠気で仕事・学業に支障がある場合は専門医に相談。
・車の運転に注意。
11、睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと
・睡眠薬代わりの寝酒は、深い睡眠を減らし、夜中に目覚める原因となる。
12、睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全
・一定時刻に服用し就床。
・アルコールとの併用をしない。
不眠症は、様々な生活習慣が複雑に影響しあっていることがあります。
そのため、不眠症の根治には内服治療だけではなく生活習慣の改善も必要です。
不眠症によって、更に身体的・精神的な症状が悪化したり、新たな病気になったりすることがあります。
そのため、不眠症についてのお悩みの際は、専門病院へ受診も検討しましょう。
(文・理学療法士)
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