だんだんと冬も本番に近づいてきました。
朝晩に寒さを感じたり、風邪を引きやすいなどネガティブなイメージの強い冬ですが、
実は水虫の治療には最適な季節なのです。
今回は、なぜ冬は水虫を治す最適な季節なのか、治療法や注意点を含めて解説します。
水虫の原因の菌とは
一般的に水虫の原因菌の正式名称は、「皮膚糸状菌」、別名「白癬(はくせん)菌」というカビです。
白癬菌は、白癬菌属・小胞子菌属・表皮菌属に分けられます。
人に感染する白癬菌は、日本では10種類ほどが確認されています。
その中でも、トリコフィトン・ルブルムとトリコフィトン・メンタグロフィテスが有名です。
足の水虫の症状
足の水虫の症状としては、主に足裏の水膨れです。
水膨れが破れると皮が剥ける小水疱(しょうすいほう)型や、足の指の間の皮が剥けたり、白くふやけたりする趾間(しかん)型があります。
稀ですが、ヒビやアカギレのように足の裏全体が硬くなる角質増殖型もあります。
小水疱型や趾間型は、高温多湿である春から夏にかけて症状が出現しやすいといわれています。
角質増殖型は、基本的に季節によって変化はありません。
しかし、寒い冬には硬くなった皮膚の部分がひび割れて痛みを強く感じることがあったり、爪の水虫である爪白癬を合併したりすることが多いといわれています。
小水疱型、趾間型の場合は、長い間治療を行わずに放置していなければ、爪白癬になることはほとんどありません。
冬に水虫の菌の数が減る!?
冬になると、水虫の症状がおさまるという経験をされた方も少なくはないのでしょうか。
実は、寒くなる冬は白癬菌の増殖が止まるため、菌の数が減る傾向にあります。
白癬菌は、角層の下に増殖すると痒みや水膨れといった症状を起こす特徴があります。
そのため、白癬菌の増殖が止まり、菌の数が減ると、今までの白癬菌が原因で生じていた痒みや水膨れの症状が落ち着きます。
逆に、春から夏は高温多湿のため、白癬菌が増えて痒みや水膨れの症状が出現してくるのです。
つまり、水虫の原因である白癬菌の数が減っている冬のうちに、しっかりと治療を行えば、効果的に水虫を治すことができるのです。
水虫の治療法
前述の通り、涼しくなってきた冬は、水虫の治療を行うベストシーズンになります。
次に、水虫の効果的な治療法について解説します。
皮膚の角層部分感染した白癬の場合は、抗真菌作用のある塗り薬を患部に添付することが効果的であるといわれています。
しかし、角質増殖型や、白癬菌が髪の毛や爪に寄生している場合は、飲み薬を服用する必要があります。
飲み薬は、副作用や他の薬剤との飲み合わせの問題があるため、主治医に確認しておきましょう。
足の水虫のみの場合は、自覚症状がない部分も含めて、指の間から足の裏全体に、最低4週間毎日塗り薬を添付します。
もし、水虫の薬を一定期間つけても症状が改善しない場合は、白癬菌が原因でない場合も考慮した方がよいでしょう。
水虫の治療の注意点
現在の市販や処方されている水虫の薬は、白癬菌に対して効果があるといわれています。
そのため、通常の白癬菌が原因の水虫の症状である場合は、塗り薬を毎日つければ、約2週間程度で症状は改善することがほとんどです。
しかし、2週間ほどの薬の添付では、白癬菌は完全に消失せず、白癬菌は足に残存している状態になります。
症状が落ち着くため、多くの方は、「水虫が治った」と勘違いしてしまいます。
2週間ほどで白癬菌が完全に消失したと勘違いし、治療を中止してしまうと、翌年の夏に足に残っていた白癬菌がまた増殖してしまいます。
また、足の水虫の場合は自覚症状のない部位にも菌は存在しています。
そのため、水虫の薬を自覚症状があるところだけでなく、指の間から足裏全体に塗ることが大切です。
水虫の予防法
一度、白癬菌に感染し、水虫の症状を発症すると痒みや腫れなどの辛い症状が出現します。
また、約1カ月の間、薬を塗り続ける必要があるなど、手間もかかります。
できれば、そんなやっかいな水虫には感染したくないですよね。
次は、水虫にならないための予防法について説明します。
スリッパの共有は避けましょう
同居している家庭に水虫の人がいる場合は、家族内感染を防ぐことが重要になります。
家族とスリッパやサンダルの共有は避けましょう。
また、足ふきマットなどは別にするなどの対策が有効であるといわれています。
靴は頻繁に洗いましょう
普段使用している靴は、可能な限り頻繁に洗いましょう。
靴の中で繁殖している白癬菌を取り除くためです。
洗った後は、しっかり乾燥させ、できれば毎日同じ靴を履かないように心がけましょう。
洗えない皮靴は、中を濡れ雑巾で拭いて白癬菌がついたアカを取り除くことが有効です。
アカを取り除いた後は、しっかりと乾燥させます。
また、靴・靴下は通気性のあるものがオススメです。
長時間靴を履き続ける場合は、時々脱いで風を通すようにしましょう。
マメに畳掃除・部屋掃除を
畳は、掃除機をかけて編目に付着した垢を水拭きなどで取り去ります。
できれば、風通しをよくして乾燥させると効果的です。
また、白癬菌は髪の毛やホコリ・アカなどにまみれて部屋の隅に生息しています。
白癬菌は、アカと生息している場合は、1年以上生き続けることもあるため、
部屋の中の掃除をマメに行うことが大切です。
水虫にならないためのケア
白癬菌が皮膚に侵入して感染するまでに最低24時間、皮膚に傷口がある場合は、12時間で感染するといわれています。
そのため、白癬菌が皮膚に付着しても、24時間以内に足を綺麗に洗うことができれば、感染を防ぐことができます。
足を洗う際は、強く洗って皮膚に傷がつかないようにします。
石鹸をよく泡立て、足をなでるように、足の隅々まで洗いましょう。
寒くなる冬は、水虫の原因である白癬菌の数が減る季節です。
そのため、症状が落ち着いて、原因の菌の数が減っているうちに、治療を行うと効果的です。
寒い冬こそ水虫を治すチャンスです。
正しい治療法と治療期間を守り、水虫を治しましょう。