最近では、国民の健康志向の高まりから、自分で身体をメンテナンスするセルフメンテナンスを行う方が多くなってきました。
セルフメンテナンスの中でも、ストレッチは誰でも気軽に行える方法です。
そのため、日ごろからストレッチを行っている方も多いと思います。
気軽に行えるストレッチですが、ストレッチの効果や正しい方法などを理解している方は少ないのではないでしょうか。
今回は、ストレッチの効果や、医療現場で行うストレッチの方法について解説します。
ストレッチの効果
ストレッチは様々な効果が期待できるといわれています。
主な効果として、
- ・筋肉の柔軟性改善
- ・筋肉の緊張緩和
- ・疲労回復
- ・血流増加
- ・傷害予防
- ・スポーツパフォーマンスの向上
があげられます。
医療現場で行うストレッチ
医療現場でも、運動療法の一つとして対象者に対してストレッチを実施することがあります。ストレッチの方法は様々ですが、ここでは3つのストレッチ方法について詳しく説明していきます。
スタティックストレッチ
スタティックストレッチは、筋肉を伸長させた状態で止める方法です。
筋肉を伸長させている時は、反動をつけずに30~60秒ほど保持します。
痛みを感じる手前で筋肉の伸長をとめて、筋肉の「防御性収縮」が出現しないように注意しながら行います。
「防御性収縮」とは、筋肉が痛みなどの有害な刺激に対して、反射的に筋肉を収縮させることで自分の身体を守る現象です。
スタティックストレッチでは、呼吸を止めずに、ゆっくりと呼吸を続けながら筋肉を伸長させます。
スタティックストレッチは、反動をつけずに行う方法であるため、筋肉が損傷してしまうリスクは比較的低いといわれています。
スタティックストレッチの効果
スタティックストレッチは、筋肉の柔軟性改善に効果的であるといわれています。
バリスティックストレッチ
バリスティックストレッチは、ストレッチを実施する人が自ら反動をつけて筋を伸張させる方法です。
場合によっては反動をつけることで、逆に筋肉の緊張が進んでしまう可能性もあります。
そのため、既に筋肉の柔軟性が低下し、関節の可動域が低下している方に対してバリスティックストレッチを行うことはほとんどありません。
バリスティックストレッチは、主にスポーツ分野でパフォーマンス向上を目的に実施されることが多いといわれています。
反動をつけずに行うスタティックストレッチと異なり、反動をつけて行うため、筋肉の損傷を引き起こすリスクがあります。
バリスティックストレッチを行う際は、十分に注意が必要です。
バリスティックストレッチの効果
バリスティックストレッチは、動的ストレッチの特性に加えて、動作の切り替えが求められるスポーツの前に行うとさらに有効であるといわれています。
伸張反射を上手に利用できた場合は、特定の運動のパフォーマンス向上につながることも期待できます。
ダイナミックストレッチ
関節を動かす際に、収縮する筋肉と反対の作用を持つ筋肉は弛緩するという作用があります。
その作用を「相反神経支配」とよびます。
相反神経支配を利用して、ストレッチに応用したものがダイナミックストレッチです。
ダイナミックストレッチは、伸長させたい筋肉と反対側の筋肉を収縮させます。反対の筋肉を収縮させると、伸長させたい筋肉が弛緩します。弛緩した後に、対象とする筋肉を伸長させます。
ダイナミックストレッチは、筋肉の収縮と伸張を繰り返し、対象とする筋肉をストレッチする方法です。ダイナミックストレッチは、運動前のウォーミングアップに適しています。
ダイナミックストレッチの効果
ダイナミックストレッチを行うことで、全身の血流が促進され、筋肉が損傷されにくいといわれています。
ダイナミックストレッチで有名な方法は、ラジオ体操です。
ラジオ体操のメニューには、関節が可動域の最終域にて、反動を使うものも入っています。
そのため、厳密にはラジオ体操はダイナミックストレッチのみではなく、バリスティックストレッチも含まれていることになります。
ストレッチの効果を最大限活かすために
ストレッチの効果を最大限活かすためにはどうすればよいのでしょうか。
継続する
3ヶ月間の習慣的なストレッチングの効果は、ストレッチングを止めてから「1ケ月以上」は持続する可能性があるという研究結果がでています。そのため、ストレッチの効果は、継続することで得られるということになります。
「少し痛い」程度で行う
ストレッチの強度としては、「少し痛い」程度が最も有効であるといわれています。
痛みを感じてしまうと、前述の通り「防御性収縮」がはたらき、効果的なストレッチが行えません。「少し痛い」くらいのストレッチの強度が効果を高めるといわれています。
今回は、ストレッチの効果や方法について解説しました。
ストレッチの科学的根拠については、現時点では不明なことも多く、今後さらなる研究が必要であるといわれています。
反動をつけずに行うスタティックストレッチは、筋肉の柔軟性の向上を目的に実施し、反動をつけて行うバリスティックストレッチやダイナミックストレッチは、障害予防やパフォーマンスアップを目的に行います。
数あるストレッチの方法ですが、注意点を守りながら、時と場合によって適切ストレッチを使い分けることが大切になります。ご自分にあったストレッチ方法を適切な方法や強度で行いましょう。